ショートコラム「伝説のセッション」

TRPGをやっているものならば誰にでも、「伝説に残るセッション」というものがあるものだ。
伝説という言葉が大袈裟ならば、「自分史」上、と言ってもいい。
私の場合、それは二つある。
片方はいい意味で、もう片方は悪い意味で、なのだが、どちらにせよ、これからの私のTRPG人生において、あれらを超えるものはあまりないだろう。
───────そういえば、ひとつ虚数座標上に位置するものがあることを思い出したが、アレはとりあえず置いておこう。
そう、あれこそが伝説の…ではあるのだが。
興味のある方は(以下検閲により抹消)

では、悪い意味から行ってみよう。
それは、私の人生における初めてのセッションにおける出来事である。
大学に入ったばかりの新入生ということで、歓迎の意味を込めて(多分)、セッションをしてくださったのだが…
そのシステムはS=Fだった。もちろん、システムに責任はない。ちなみに、GMは、SWなどをやり付けている人であって、その辺のバランス、シナリオなどはお手の物であった。
…が、問題は別のところに潜んでいたのだ。
今、これを事細かに書くと、人間関係を損ねかねないので、ここは敢えて止めておこうと思う(笑)
ただ、結果から言うと、PCどもは力押しで解決しようとした挙げ句、華麗に押し込み強盗放火殺人犯となった。
本来ならば、一級犯罪で死刑である。
煙が目に痛かった…

ちなみに、その後のGM曰く、
「…○○さん(私の名前)、もう二度とD6に来ないかと思った」
と言わしめるほどの結末であったことだけは述べておこう。
(本当に2度と来ることもないかも…と思った。実際のところ)
っていうか、最後に「仕方がない、火を付けて逃げよう」と言ったのは私ですがね。


そして、もうひとつの「伝説」とは。
これも、実は上記のS=Fと同じ方がGMのセッションだったのだが、これは、本当に素晴らしかった。
システムは、ギア・アンティーク(旧版)
偶然、「大陸横断鉄道」の同じコンパートメントに乗り合わせた人間達の繰り広げる、群像ドラマ。
…細かいストーリーは、そのGMさんの著作権もあると思うのでとりあえず伏せておく。
しかしあれは、まさに筆舌に尽くしがたい、心躍り、そして「生きた」人間達のドラマであった。
今でも、そのセッションの中で描かれた風景、スリルは生き生きと胸の中に蘇る。
私は、あの走行する列車の上空を、大砲の弾をかいくぐりながらグライダーで翔け抜けた、あの瞬間のことを忘れないだろう。
夜が、まさに明けようとしていたあの瞬間のことを。
列車が、帝国領をぼろぼろになりながら走り抜け、自由の中で停車した、あの感動を。
それらはまるで、自分自身が体験したことのように思い起こされる。
しかも、この全てのドラマは、それぞれのロール(役割演技)プレイとロール(サイコロを振ること)により生まれたのだ。

そう、これが、TRPGだ。

この感動があるからこそ、私はTRPGを止められない。
(…これが、私がランダム要素の高いシステムの方がヒーローものよりも好き、な理由なのだが、それはまた別の機会に。ヒーローものも好きだけれどね)

ところで、何故最初に、最初の「伝説のセッション」をくぐり抜けた私がTRPGを続けたのか?
…それはもう、巡り合わせというしかないでしょう。
いや、ホントのところ。

(文責:しあん=都田祥)




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